プロポリスは、ブラジルだけでなく中国、オーストラリア、アルゼンチン、ブルガリア、ハンガリー、キューバ、日本など世界各地で生産されています。しかし、品質は圧倒的にブラジルのものがよいとされています。これは何故でしょうか?
プロポリスの良し悪しは長くフラボノイドの含有量で決まると言われてきました。ブラジル産は色々な作用があると言われているフラボノイドを他の地域の5~10倍も含んでいると言われています。フラボノイドと言っても色々な種類がありますが、一般的にはプロポリスが含有するフラボノイドの中ではケルセチンが最も多いため、ケルセチンの量が比較の基準でした。他の国の製品の中でフラボノイドの量が比較的多いのはオーストラリア産ですが、ここのハチは小さいため、結果として採取されるプロポリスの量は少なく、価格的にブラジル産に対抗できないというのが現状です。
ところが、2000年を過ぎてから急激にプロポリスの評価も変わりつつあります。ブラジル産固有の植物に含まれるアルテピリンCなど桂皮酸誘導体が非常に優れた物質だということを日本の研究者が発表して以来、一躍注目を浴びるようになったのです。最近ではフラボノイドを含んだ緑がかった茶色いプロポリスよりも、アレクリンを含んだ緑の濃いグリーンプロポリスこそ、最高のプロポリスであるという評価が定着しつつあります。
元々アフリカ種は体が大きく、性格も凶暴で人や家畜が刺されると死ぬ程の力を持っており、逃げて増えたこの種によって当時4000人もの人と1万頭もの家畜が命を落とすなど大問題になっていました。その後もアフリカ種はもの凄い勢いで繁殖を続け、昔からブラジルにいたヨーロッパ種とも交配を繰り返すことになり、その交配が繰り返され世代が交代していくうちに、アフリカ種がもつ凶暴性が薄れたのです。
さらにこの変種は、非常に生命力が強く、飛行速度は普通のハチの二倍、飛行高度は三倍、その距離は3000キロもの範囲を飛び回るだけでなく、ハチミツを採取することやプロポリスを作ることにも非常に秀でていることがわかったのです。そのうえ、この混合種ミツバチは病気に対するとても強い抵抗力を持っており、他の国で使われている抗生物質や殺ダニ剤などを使用する必要がないため、ブラジルのプロポリスには薬品残留がない、といいことづくめなのです。
現在では、ミツバチの衛生・防御本能を刺激するCPI(Coletor de Propolis Intelligence)という方法を用いて、更に効率的にプロポリスを採取しています。巣箱によっては10日で150gのプロポリスを獲得することができるようになりました。偶然のなしえた幸運に加え、ブラジルの人々様々な努力により、プラジルのハチが作るプロポリスの質は格段に高くなっているのです。
日本の23倍もの面積を持つブラジルは自然林だけでも日本の2倍あり、土壌汚染もなく、熱帯から亜熱帯にかけての気候は生物や植物、その他のバクテリアなどにも生育するのに最も相応しい環境です。
あらゆる動物はそうしたバクテリアなどにも耐えうる程、生命力が旺盛で、植物は強い抗菌性を持つようになりました。アレクリン、アサペシ、カピシンギ、ユーカリ、クルシアなどがその代表格で、どれも逞しい生命力に満ち溢れています。そのうえ、ブラジルは世界最大の薬草の宝庫です。そうした多種多様な植物から作られたプロポリスは良質で、含有するフラボノイドの種類や量が他の地域でのプロポリスを凌駕しています。
産地 | 主な植物 | 主なフラボノイド |
---|---|---|
ヨーロッパ各地 | ポプラ、シラカバ | クリシン、ガランギン、ピノセンプリン |
マロニエ、カシ | ケンフェロール、アピゲニン | |
モミ、カラマツ | アカセチン、ケルセチン | |
アカマツ | イソラムネチン | |
オーストラリア | ユーカリ | ケルセチン |
ロシア | シラカバ、ポプラ | クリシン、ガランギン、ピノセンブリン |
中国 | シラカバ、ヤナギ | クリシン、ガランギン、ケルセチン |
アルゼンチン | ポプラ、グリーン | クリシン、ガランギン、ピノセンブリン |
ブラジル | アレクリン | ガランギン、クリシン |
アサペシ | ピノセンブリン、ピノバンクシン | |
ユーカリ | ケルセチン |
今となってはプロポリスはブラジルの大切な輸出製品です。もし、ブラジルから輸出されたプロポリスの品質が悪かったということがあった場合、ブラジル産プロポリスのブランドイメージが下がることになります。それを防ぐためにも、水質、不純物、衛星レベルなど、現在はブラジル農林省による厳しいチェックが行われるようになりました。結果、粗悪品を作る輸出メーカーは淘汰されてしまい、ブラジルの製品は全て良いとされるようになったのです。