プロポリスの機能性表示実現なるか?
2015年から大きく食品表示のルールが改正され、サプリメントから一般的な食品まで、必要な要件を満たしていれば、食品の機能性を表示することができるようになりました。これは予め、臨床試験や論文による客観的で偏りのない判断に基づいた申請書類が消費者庁により受理されなければなりませんんし、また表示の内容は、健常者の健康を維持及び増進に役立つものに限り、「診断」「予防」「治療」「処置」などの医学的な表現は使用できませんが、それでも「コレステロール値を改善」だとか、「睡眠の質の向上」のような表現ができるようになったことは画期的です。これはサプリメントだけでなく、一般的な食品にも適用されるため、要件さえ満たしていれば、「肌にうるおいを与えるみかん」のような表記が認められることになります。(詳しくは、消費者庁の機能性表示食品の届出等に関するガイドラインをお読みください)
さて、バラ色に見えている機能性表示ですが、実際は全ての食品、原材料にこれが認められてるわけではありません。食品の機能性を示すには、その機能性に関与している成分が明確でないといけませんが、色々なものが混ざっている食品ほどその成分が定量できず、機能性とその指標成分との関連性を示すことができません。つまり、ローヤルゼリー、酵素、そしてプロポリスがこれに該当するわけで、今まで最も機能性表示の対象外とされてきました。
ところが、複数の検討会を経るにつれ、植物エキスや糖質・糖類なども食品の関与成分として認められることになり、青汁、朝鮮人参、オリゴ糖、キシリトールなどにも機能性表示の可能性が与えられました。この流れでいくと、今のところ対象外とされている動物性エキスのプロポリスやローヤルゼリーも関与成分さえ明確になっていれば機能性表示の対象にできるはずです。おそらく、一番の問題になってくるのはハチ製品は、産地により成分が大きく異なるという側面があり、論文に書かれている機能性や安全性の同等性が証明できるかが問題になってくるでしょう。(参考記事:機能性表示食品、植物エキスなど追加 消費者庁 - 日本経済新聞(2016年11月26日))
ところで、プロポリスが体にいい、というのは大昔から言われていることですが、実際関与成分は何で、どんな機能性を表示するかということになると、また色々意見が噴出してきそうです。最も有望であると思われる「ある関与成分」について論文を調べてみると、抗癌、抗遺伝子変異など表示できない内容のものが多く、それ以外でも抗酸化、育毛、ダイエットなど、エビデンスは多いものの機能性表示としてはすんなり消費者庁に受理してもらえそうにありません。プロポリスメーカー各社、機能性表示がOKになった日に向けて水面下で色々準備をし、策を練っているはずです。その答えは1年後なのか、2年後なのか、もっと先か、機能性表示プロポリスが登場するとき、業界も大きく変わっているかもしれません。