遠い灯、近い灯、機能性表示
アメリカとは大違いの機能性表示
先月プロポリス協議会主催のセミナーで、大阪大学の森下教授がプロポリスの機能性表示は十分可能とコメントしていたことが先月の健康産業新聞に載っていました。これは関与成分の明示とその作用機序などいくつかのクリアしなければならない点はあるにせよ、プロポリスは十分に機能性を表示できるというものです。
機能性表示の要件の一つに、詳細な臨床データを提出するか、システマティックレビューを提示するかの必要性があり、前者は多大なコストや臨床データに十分な健常者のデータが取れにくいという問題がある一方、後者は求められる査読付き論文の基準が高すぎて殆どの資料が有効と判定されないか、またはその内容を否定するような論文が他に見つかった場合でもその資料が無効となるという問題があり、殆どの企業が機能性表示は夢のまた夢と考え始めています。この難しいハードルを越える一つの解決策として、協議会全体で臨床データを取るというものです。これならば、一社の負担する金額は下がり機能性表示は現実的なものになるかもしれません。
ちゃんとしたデータを提出すれば、有利に販売ができるということは、ちゃんとしたデータが提出できなければ不利な状況に追い込まれ、売り上げが落ちます。なので、殆どの健康食品会社は、これを機にプロポリス協議会のような臨床データを提出して機能性表示を獲得する団体に加入し、機能性を表示することなるでしょう。結局、殆どの会社が機能性を表示することができるようになり、またその中で競争をするという構図になるのかもしれません。
今の時点では、こうした協議会や団体が機能性表示を実現させるための役割を果たしてくれるのは悪いことではありませんが、将来的には様々な研究がオープンな形で行われ、それを消費者が客観的に判断し、食品や健康食品を取捨選択するようになれば表示うんぬんなんてことも必要なくなるのでしょう。いわゆる消費者の食品リテラシーの向上があれば、機能性が表示してあろうかあるまいが消費者がわかっているから関係ないということです。少なくとも、その食品が持つ成分が十分多くの人に有用であることがわかれば、それが多くの人に知らしめられるべきでしょう。それにしても自己責任において広く機能性表示が謳えるとしたアメリカとは全く似て非なるものになってしまうというのはまた裏切られた感じがします。