そもそもプロポリスとは何ぞや?
いまさら聞けないプロポリスとは
プロポリスのど飴とか、プロポリス入りサプリとか、プロポリスはもう当たり前のように語られるようになりましたが、皆さんプロポリスとは何かご存知でしたか?ここではいまさら聞けないプロポリスとは何かについて書いてみました。
ミツバチの生態からプロポリスを探ってみる
プロポリスは、ミツバチが集めた植物の芽、葉、樹皮、実などを自分の唾液で固めたもので、そのミツバチが棲む地域の植生によってプロポリスに含まれる物質が大きく違うと言われています。そのため、世界中でプロポリスが作られていますが、国や採取される地域によって等級がつけられている云々はどこでもよく聞く話です。でも、そもそもミツバチは、何のためにそんなものを作っているのでしょうか?プロポリスとは何かを語るためには、プロポリスそのものだけでなくミツバチの生活全体について語る必要があります。
メスが断然エライ、ミツバチの世界
ミツバチは集団で生活しています。女王蜂は1匹だけで、それ以外の殆どがメスの働き蜂で、オスは1割程度しかおらず、生殖活動のためだけにほとんど巣の中で生活します。働き蜂は花の蜜や花粉を求めて、自分の巣から数百キロも離れたところまで飛行し、集めた餌を食べたり、それを元にローヤルゼリーを分泌して女王蜂に与えます。このローヤルゼリーの威力により、女王蜂はその体が普通の働き蜂の2倍以上になるだけでなく、通常の働き蜂の寿命が30-150日なのに対し、3年-4年も行き続けるのです。一方、オスはほとんど何もせず餌をもらって生きていますが、女王蜂との交尾が終わると、その生殖器が壊れて死ぬか、女王蜂との交尾をしない場合でも、繁殖期を過ぎたオスは無用とされ、餌をもらえずに巣の外に追い出され、やがて死んでしまうという悲しい一生なのです。女王蜂は1匹というシステムの中、新しい女王蜂が生まれると、古い女王は分蜂といって、数匹の働き蜂を連れて別の巣を作るのです。ミツバチは、多様な蜂の種類の中でも、最も集団で生きていくノウハウを持っているといってもいいでしょう。
プロポリスとは城壁
そんな彼らが生み出した智恵の一つがプロポリスです。というのは、ミツバチは最も蜂の中でも小さく弱いタイプなので、自分たちを守ることに長けています。例えば、自分たちよりも遥かに大きいススメバチに襲われたとき、1匹では到底立ち向かえないため、1匹のスズメバチを大量のミツバチが球体のようになって隙間なく包み、中の温度を上げることによって、スズメバチを殺すという驚くべき対応能力を持っています。プロポリスも、巣の中に自分たちよりも大きな外敵が入って来ないようにするために作った城壁なのです。
よく、写真でプロポリスの原塊の写真が映し出されますが、完成した採取される直前のプロポリスは、まるで穴が等間隔に開いているベルトのようです。この穴は彼らが通りぬけることができる最小の穴で、この穴より大きな生き物は侵入することができません。
様々な研究により、プロポリスには別の効用があることもわかっています。プロポリスの高い抗菌作用おかげで、巣の中は無菌状態に保たれ、いつも衛生的なのです。この効果を利用して、太古の昔、エジプトではミイラ作りの原料にプロポリスが使われたと言われています。さらに、プロポリスのおかげで、巣の中の温度が一定に保たれ、快適な環境が維持できているという話もあります。
それでもやっぱりホンモノを見なくちゃと、実際にブラジルに行ってきました
という色々な話はものの本で読んで知ってはいましたが、自称「プロポリスの伝道師」としては、どうしても本物のプロポリスを、それもブラジルのプロポリスを見て見たいと現地の養蜂家さんを訪ねたことがあります。
訪れたのはミナス・ジェライス州のある農村。現在、プロポリスの中で最高峰と言われているのが、グリーンタイプのプロポリスです。これはアレクリンという植物を多く含むプロポリスの特徴で、緑が濃いほどアレクリンリッチであるとして重宝されています。そのため、現地ではグリーンプロポリスのグレードをその色によってS級、A級・・・と7レベルぐらいに区別しています。そのSやAの殆どが、ミナス・ジェライス州で採れるので、この地域はプロポリスの聖地と言われるほどです。
行ったのは2013年の10月。拙宅が富山にある私の場合、成田まで行くのも大変なのに、成田→ワシントンDC→グアルーリョス空港がなんと30時間以上もかかるため、仕事のことを考えるとブラジルでは2泊3日しかできない大強行軍でした。
飛行機で東京から36時間かけて着いたサンパウロは、あまりにも車の渋滞がひどくてこれで本当にアマゾンのような自然が見られるのかと思いましたが、
養蜂家さんは、くねくねした道を4時間以上、120Km以上でぶっ飛ばしてくれました。私はあまりの怖さにずっと足を突っ張っておりましたw すると知らないうちに周囲の風景がガラッと変わっていました。
養蜂場に到着したら、休む暇もなくすぐに作業服に着替えて、
さらに、今度は急峻な山道をトラックでかけ上がり、
ついにミツバチの巣箱に出会えました。行ったときは10月の頭だったので、プロポリス収穫のピーク前で、ミツバチの数もそれほど多くはありませんでしたが、雨が降っていたので、繊細なミツバチは機嫌が悪く、ガンガン攻撃されたのでした。
(当時、何故か全ての写真をタテで撮っていたため、こんな画像に。今考えると、アホですね。一度でもいいから横にしてたら、超貴重な資料になったのですが。でも、しっかり、蜂との格闘は見ることができます)
(これも残念ながらタテ撮りです。この日は少し雨が降っていたのでミツバチの機嫌が悪く、噴霧器でいぶしてミツバチを鎮めていましたが、私はミツバチに刺されました。腫れはなんと1週間も残りましたが、現地の人は1日に20箇所は刺されるとか)
正直、こんなにもプロポリスの緑色が鮮やかだとは思っていませんでした。飛行機で30数時間かけて地球の反対側に行き、その足で猛スピードの車で4時間揺られ、蜂に刺されながらも見ることができたあの緑色のベルトは一生忘れることができないでしょう。
しかし、あんなに苦労して巣箱を作って設置して、蜂に刺されながらプロポリスを採取する現地の養蜂家さんには頭が下がりました。ほんと、自分にはできないと思いました。
古くて新しいプロポリス
プロポリスは、ヨーロッパでは昔から、様々な場面で使用されてきました。ところが、今のようにサプリとして飲みだしたのはここ数十年のことなのです。意外ですが、プロポリスと人間のつき合いは新しいステージを迎えたばかりで、これからもまだまだ色々な研究が必要です。例えば、含まれている成分にしても200以上あるとは言われていますが、まだ全ての物質が解明されたわけではありません。プロポリスについて知っている人も知らない人も、勉強はまだまだなのですね。