プロポリスがあなたに届くまで-手続き編
複雑な手続きがいっぱい
前回まででプロポリスが出来上がる工程を解説しましたが、ブラジルで箱詰めされた製品なのでブラジル産となります。つまり、日本から見れば外国産なので全て輸入品です。こうした輸入品は、通常国内でどこかの店や農場に行って大量に製品や原料を購入するのとは大きな違いがあります。それは、食品衛生法に基づき、輸入する前に検疫所に相談・確認し、検疫審査に必要な書類をあらかじめ準備しなければならず、関税という輸入品に対する税金を支払わなければなりません。
検疫検査の手続きは国内よりも厳しい?
輸入品の種類によって必要な書類は違ってきますが、プロポリスの場合は食品扱いなので、食品等輸入届出書、原材料、成分または製造工程などに関する説明書、さらに日本政府が指定した分析機関で特定の残留農薬や添加物などが含有されてないことを示す証明書、必要に応じて衛生証明書が必要です。ただ、日本政府が指定した世界各国の分析機関は数が少ないため利用しにくく、当店ではもっぱら検疫審査直前に到着した日本の港や空港でサンプリング、分析をしてもらうことにしています。
初めての検疫の場合は、さらに使用されているアルコールやその他の原料についても食品衛生監視員よりさらに細かな内容の書類提出を求められることもあり、事前に必要書類を準備していたにもかかわらず、こうした追加書類の準備で貨物の入荷がさらに遅れることもしばしばあります。一度輸入検査で通った製品は、2回目以降は証明書の写しを提出することで新たな分析検査は免除されますが、1年経過した製品については再度分析検査を求めれられます。
プロポリスの場合、日本では十分に食品として流通し、その製造方法や使用されてる原料についてもシンプルなので、比較的審査は簡単ですが、原材料が多岐にわたっている新しい加工食品などの場合は、提出書類は非常に多く、手続きにも時間がかかっていることでしょう。世界中から輸入されている年間200万件を超える食品の厖大な数に対し、全国の検疫所の監視員の数は400人足らずでEUに比べると十分の一程度という話もあり、今後さらに人員を増やし輸入食品に対する審査を厳しくすべきという声が高まってきそうな風潮です。
ただ、その一方で、国内はメーカーの自主管理に任せているというのが現状で、最近あちこちで発生しているホテルレストランの食材偽装を見ると、本当はどちらの食材の方が安心なのか、一般の方が持たれるイメージとは現状は違っているのかもしれません。
検疫審査が終わるまでの間、税関の輸入許可がまだもらえていない貨物は保税倉庫という場所に保管されます。もし、提出書類に不備があったり、分析試験結果で異状が認められた場合は、輸入手続きをすることができなくなります。賞味期限の短い食品や燻蒸などの処理を行わなければならない花卉などは、製品価値がほとんどなくなってしまうので、廃棄処分ということもよくあります。
また、保存が効くものについては積戻しといって、輸出者に戻されることもありますが、いずれにせよ、輸入者の手元に届くことはありません。とても厳しい世界ですが、国内の安全を守るためには仕方ありません。一方、無事検疫審査が終わった貨物は、税関で関税と消費税、地方消費税がそれぞれ確定し、これを支払うことにより、ようやく輸入者の手元に届きます。
システマチックから程遠い輸入手続き
当店の場合、ブラジルから輸入をしているので、もっぱら輸送時間の短い空輸を選んでいますが、輸出者の出荷から税関の保税倉庫に保管されるまでに1-2週間程度かかり、ここで分析試験を新たに行ったりしていると、さらに10日-2週間程度はかかりますので、もたついていると1か月はあっという間に過ぎてしまいます。
当店では国内製造も手がけていますので、その輸入品の手続きの多さ、検疫所、担当官によって要求される内容が毎回違うなど、神経の使い方が全く違うことを身に染みて感じています。そうした手間の多さもあり、ほとんどの企業が製品として輸入せず、より輸入に際しての手間やコストがかからない原料を輸入し加工して国産として販売する手法を選んでいるのでしょう。当店のような直輸入プロポリス専門店は稀有に等しい理由がそこにあります。